牡蠣

ひとり、キッチンにいる、アラビア系のシェフに、
「生牡蠣を食べたことあるか?」と聞かれた。
彼の質問は「Do you eat raw oysters?」だったので、
ぼくは、そんなに好きじゃないと答えたら、
彼は、ぼくが、生牡蠣を食べる機会のない、
貧民か何かのかわいそうな子だと思ったらしく、
「シャーロットとレモンジュースのヴィネガーをちょっとしぼって、
つるんっとやるとうまいんだぞ」と、教えてくれた。
そもそも、異常なまでに、非加熱品を食べる日本から来ているんだから、
ここで普通に食べられるよりも、ずっと新鮮で、
ヴィネガーなんてなくても、そのジュースだけで、
じゅうぶんな味わいのある牡蠣を食べたことあるよ。
王様気分とか、経験豊富なつもりなのは、いいことだけど、
恥ずかしくない程度にした方がいいと思うな。
あと、英語で何かを聞いてもわからない、とか、言っていたけど、
それは、あなたのが英語と言うには、訛りすぎているからです。
訛っている同士、そういう、つまんない話はやめましょうよ。
まあ、見るからに、思い込みが強い感じで、ああいう人は、
セックスも自己満足で終わるんだろうな、と、思った。
そういうのが好きな女の子もいるでしょうけども。
たとえ、的外れでも、お互いが気持ちよくなれるような、
努力は必要としていたい。仕事でも、付き合いでも。
どうも、そういう、意味のない押しの強さは、受け入れられない。
思い込みだけで進んだり、あきらめたりするのは、
簡単なことなので、そんなことばかり選んでいると、
できないことばっかり増えちゃって、行き止まりそう。
ゲームなら、リセットすれば、済むけどねえ。