さようならの近さ

本当は、一緒にいたいとか、そういう気持ちのほうが、
優先されるべきなんだろうけど、それより、
もう、ぼくの役目は、終わってしまうんじゃないか、
という感覚の方が、ずっと近いことがある。
ぼく自身、わかってもいないのに、なぜか、
ぼくの出番は最初から決められていて、
知らない間に、その通りに、物事が進んでいる。
ぼくには確かに「この方が今よりもずっと素敵だよ」って、
思い描くことがあるのに、それは形にはならない。
さようならだけが近くにいる。最初から最後まで。
「足りない」って言葉は台詞でしかない。
その台詞を言っても、次に進むだけ。誰かが次の台詞を言う。
「足りない」っていうこと、それ以外のことについても、
物語を変えるには、じゅうぶんな何かが必要だ。