背中がムズムズする

3のつくときが、人間、あきらめやすい。
3日、3週間、3ヶ月、3年間、いやそれはどっちにしても無理。
そんなにしないうちに、ぼくは、いやになる。
たのしくて落ち着く時間があまりないのは、
人から力を奪うには、じゅうぶんだと思う。


そもそも、ぼくは、じゅうぶんに、自分には、
料理の才能がないことを実感しているし、
この仕事で誰かに認めてもらったこともないので、
公にオープンして飲み物や食べ物で利益をあげる、
というこの仕事には向いていない。
お客さんに認めてもらわなくては、意味がない。
お客さんのことを知っているシェフに認めてもらわなくては意味がない。
みっともなくしがみついているだけ。
好きだとか、心の底からとか、そんなことは、
わかりやすい形で、わかってもらわなくてはいけない。


みっともないのは構わない。
できないと自覚するのも構わない。
偉くならなくていい。
シェフに笑われてもいい。
でも、時々、それはきついです。平気でも、きつい。
この一週間くらい、背中のまん中、右の方が、
むずむずむずむず、虫が這い回るみたいな感じ、
きもちわるくて、かなわない。
あのこの指だったら、きもちわるくてもいいのに。
でもこれはあのこの指じゃない。きもちわるい虫。