言葉が

ぼくの思っている言葉と、
きみの思っている言葉と、
同じものだったらいい。
多少の、発音の違いや、訛りは、気にしない。
世界を支配するのは、
強くて美しい、憎しみや怒りではなく、
弱くて醜い、祈りや囁き。
昔のことが、ぼくの全てを決めるわけではない。
今のぼくが、きみのくれる言葉を受け止めればいい。
ぼくは、この祈りを、きみに、
きみの言葉で、伝えられているだろうか。
同じものだと、きみは言っていたから、
それを信じようと思う。
きみには、きっと、伝わる。
そうであってほしいと思う。


仕事は、暑くなる前の最後の一幕、
とても忙しくて、息つく間もない。
でも、それでも、できることを見つけられる自分がいるし、
ずっと自分を自分から引き離していた、
悲しみや切なさが、拭い去られるのと時を同じくして、
自分が戻ってきた感覚がある。
指を動かすと、わかる。
はじめて、きみに、触れた日のように、
指が動かせるのだから、とても、調子はいい。
きみに、触れるわけではないのに、
きみに、触れられるだけの、指先。

言葉の力を、人が救ってくれるということを、
信じようと思う。信じられる、と、思う。
少なくとも、信じるようにと、続けることを、やめない。