世渡り上手

朝食のお仕事のときは、違うキッチンに行って、
ハッシュブラウンとか、ベイクトマトとか、いろいろ、
もらってこないといけないのだけど、もちろん、
相手も夜中とか朝とかから働いていて、機嫌悪いこともあるので、
こちらは、朝でだるくても、元気いっぱい明るく笑顔で、
ハローハローと、挨拶していかないといけない。
そうしないと、意地悪で、ものをくれないこともある。
くれなければいけないことになっていても、そんなのは関係ない。
メインキッチンと呼ばれるキッチンで、3箇所から、
いろんなものを、いただいて、普段のキッチンに戻る。
もう人に会うたびにハロー。ぼくのからだのどこに、
こんなに、にこにこ、ハローハローする成分があるのか、
今日なんか、自分で、ハローって言うたびに、おかしくて笑った。
わかってくれない人がいたら、その人にとっては、
その人がわかってくれているとおりの自分でいい。
本当の自分はこうなのわかって!なんて、抱きついたり、
一生懸命、話したりはできない。
みんながそう思っているんだったら、それでいいよ。
逆に、その人が思っているとおりの人になるのが楽しかったりして。
その、非日常感が、楽しかったりして。「ぼくはこの人から見たぼくの役」みたいな。
海外にいると、この人、ぼくのことなんだと思ってるんだっけ、とか、
わからなくなって、全然、違うキャラになったりすることもある。
久しぶりに会ったときに「えーどうして」って言われても。
嘘をつくわけじゃないんだよ、自分のことなんて、
どうやって伝えたらいいのか、わかんないだけなの。
伝える必要があるのかどうかも、いまだにわかんないだけなの。
人にわかってもらう努力、って何か、いつも考えるけど、
どうしたらわかってもらっていることになるのか、わからないから、
がんばってもがんばっても違っちゃってる気がする。